弁護士 合田雄治郎

合田 雄治郎

私は、アスリート(スポーツ選手)を全面的にサポートするための法律事務所として、合田綜合法律事務所を設立いたしました。
アスリート特有の問題(スポーツ事故、スポンサー契約、対所属団体交渉、代表選考問題、ドーピング問題、体罰問題など)のみならず、日常生活に関わるトータルな問題(一般民事、刑事事件など)においてリーガルサービスを提供いたします。

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代表選考について(3)

1 前回、個人競技スポーツについて、代表選考の基準例を3例挙げ、具体的に検討しました。

そこで取り上げた
【基準例3】「代表選考の対象試合A、B、Cの各5位以内を得点対象とし、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位2点、5位を1点とし、合計点の多い選手から3名の代表を決める。」
について、もう少し考えてみたいと思います。

2 この基準例は、一見すると十分に客観化された基準のように思われます。

しかし、それでも選手には、

「この基準では3試合出た方が有利だが、3試合も出たら疲れてしまうのではないか」(①)、

「試合によって重要度や参加選手が異なるのに、全く同じ配点をしているが、そもそも基準として適切なのか」(②)

「この基準では、合計点が同点だったときは、どのように決めるのか明らかでない」(③)

などの疑問があるかもしれません。

疑問①は、選手側でどのようにすれば代表になれるかを考えて、解決すべき問題といえるでしょう。

疑問②について、基準自体が著しく不合理でない限りは基準として有効でしょう。
NF(国内競技連盟等)は基準の適用よりも基準の作成・設定について、より広い裁量を有しているといえるからです。

疑問③については、合計点が同点の場合の決め方を予め明示しておくべきです。
ただ、明示がないとしても、同点の選手の中から代表を選ぶのは、その選択肢の狭さから、一般的にはNFの裁量の範囲内といえると思われます。

3 基準の作成・設定について、もう少し述べます。

前述のように、NFは基準の作成・設定について広い裁量を有しています。
これは、基準の作成・設定には様々な要素の考慮が必要なのであり、その判断を縛ってしまうと、硬直的で適切とはいえない基準となってしまうおそれがあるからです。

基準の作成・設定について、広い裁量が認められるにしても、その基準で選考された代表が期待された活躍が出来なかった場合には、その責任は基準作成・設定者が負うべきものだと考えます。
というのも、権利(権限)を行使する者は、その結果に対する責任を負うべきだからです。

そして、裁量権という権限を広く認めれば、それだけ結果に対する責任の重さも増すというべきです。
このことは、サッカーのWCで、代表選考をした監督が、結果を出せなかったため、その責任を負い辞任するということにも表れています。

4 先に述べた選手の疑問①~③のように、開示された選考基準に疑義があるのであれば、NFに対して積極的に説明を求めてみるべきものと思います。

特に疑問③の同点の場合のように、予め基準を示すことが可能であるものは、基準の明示を求めるべきです。

仮に選手の主張を選考基準に直截に反映させることが、そのときは難しいとしても、次回の選考の際には、その主張が取り入れられることも十分あり得ます。

5 次回最終回では、NFの側から、代表選考について考えていきたいと思います。

 

 

 

 

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