「スポーツ権と不祥事処分をめぐる法実務」
所属している第一東京弁護士会のスポーツ法研究部会で,7月に「スポーツ権と不祥事処分をめぐる法実務」という本を出しました。
私も執筆者の末席に加わっています。
近頃連日のように,スポーツ団体における不祥事の報道がメディアを賑わせています。
スポーツ団体は,不祥事を生じさせた人(指導者のみならずアスリートもありえます)の処分を決める場合に,事実をきちんと調査し,その上で適正な手続に基づき処分を決めなければなりません。
このような手続をスポーツ団体が履践していれば,問題はここまで大きくならなかったかもしれません。
多くのスポーツ団体では,事実調査や処分手続のルールをきちんとした形で作っていないことから,場当たり的な処分になってしまいがちになります。
そこで,私たちスポーツ・ロイヤーは,スポーツ団体に対し,処分をする際のルール(処分規則)を作り,そのルールに従うこと(グッド・ガバナンス)を求めています。
そのようなルール作りの参考となる考え方や雛形,過去の処分事例をまとめたものが,「スポーツ権と不祥事処分をめぐる法実務」です。
たとえ不祥事を起こしたアスリートといえども,その処分(試合出場資格喪失,試合出場停止など)がアスリート生命を左右するものである以上は,当然に,適正な事実調査や適正な手続による処分を求める権利があるというべきです。
すなわち,スポーツ団体のグッド・ガバナンスは,アスリートのスポーツ権の保障に資するということなのです。